2010年11月1日月曜日

10.17

ハンガリーの日本人宿は、経営するのも、宿泊するのも皆フロムジャパン。

かなりアットホームな雰囲気だったが、
いまだに僕はなじめなかった。

いやなじまなかった。

僕はヨーロッパで久々にゆっくりできる宿としてとっても楽しみにしていたのだ。
なんやかんや日本人の知り合いができるとうれしい。

でもそのとき、僕はあんまり話す気にならなかった。

そこでは、世界中の日本人宿と同じような光景がある。

10人以上の日本人が泊まっていた。

漫画がずらっと並べられた棚を背に、こんな異国でフロムジャパンの漫画を熱心に読みふける人や、
ハンガリー食でなく、日本食を作ってごはんをシェアする人たち。
夜は皆で輪になって、ギターの音に乗せて歌など歌ったりしている。

僕は、ずっと一人で身支度とか遅れに遅れたブログを書いたりしていた。

考えてもみてほしい。ハンガリーでおそらく一番日本人人口密度が高い場所で、
あえてコミュニケーションをとらないという状況。

みんなで盛り上がってる横を、トイレに行く僕がのそっととおると、
気を使うように話が途切れて沈黙になったりしていたw

わざわざそこに泊まりに来てふさぎ込んでる日本人一名はかなり異常な状況だった。

横の居間から、僕以外の全員で盛り上がっている声が聞こえてくる。
AV女優の話や、世界各国の風俗の話をすればおもしろいらしい。

あー平和やなぁと思う。

うだつのあがらない人(もち僕です)たちが世界一周の旅に出て
また旅先で取るに足りない話で盛り上がれるんだから。

僕は、全くスーパー以外の用事で外出はせず、
ドナウの真珠と呼ばれるブダペストの街を歩く気も起こらなかった。
楽しみにしてたはずだったのに。

一日、部屋のベッドでこれからのヨーロッパの予定を決めただけだった。

何気なくPCで音楽を聴き始めた時に、なにかの拍子で、とっても自分の心がずっしり重いことに気づく。
また何かがあふれそうになる。
悲しみにも似たやつ。

そして、ああ、自分は、アウシュビッツがこたえたんやなって。
その時初めてわかった。




覚悟のない人間が、こどもたちの写真で訴える
お決まりの「Love & Peace」のガイドラインなんてくそくらえと、
そう思っているけれど、


やっぱり平和がいいや。
僕はあんな風に知り合いをなくしたくはないな。


こたえた。
ってかこたえてた。




旅の中では、毎日毎日、見たことない景色や情報が目の中を入ってくる。
そこに消化できなかったことがあったって、
旅路は続くのだからまた次の目的地に歩いていく。

旅が続く限り、僕がはいているこの靴は、次々と異国の道にさらされていって、
さりし日に踏んだ土が、ある日靴の中からこぼれる。
その土が、その時と同じような、あるいはそれ以上に生な記憶を呼び起こす。

たった二日前とはいえ、あんな淡々としてたのに
そんな風に不意にこみあげた僕の感情に驚いた。

いかに懐かしくても、切なくてもまた次の地で、同じように土を踏む。


なんかすっきりした僕はこの日ポークステーキ4枚を食べて寝ました。

0 件のコメント:

コメントを投稿