朝5時に起きるはずだったのに、すでに九時だった。
まあ、電車の本数は結構あるから特に焦らず駅へ向かい電車に乗る。
ハンガリーで会った旅人にもらった小説「冷静と情熱の間」を読む。(順正ver.)
恋愛小説は女々しいので嫌いだけれど、舞台がフィレンツェなだけあって割と楽しんで読めた。ハッピーエンドじゃないところがよかった。一言で言うと、別れた二人が10年後フィレンツェのドゥオーモのクーポラ(塔)で待ち合わせするという相手が覚えてるかどうかもわからない約束にしがみつく男の話。
するとボローニャに到着。
ここまでは8ユーロで2時間半だから、なかなかのコストパフォーマンス。
ここで普通電車に乗ろうと時刻表を確認していると、2時間かけてゆっくりフィレンツェに到向かう列車(7ユーロ)が、20時に一本と明日しかないことが発覚。
仮にベネチアを始発で出発しても乗り継ぎに間に合わなかった。
ユーロスターなら一時間半後出発で30分以内にフィレンツェ着。でも24ユーロ。(確か)
この20ユーロの差はでかすぎる。ここから新幹線に乗らないといけないのなら、ベネチアから乗ればもうすでにフィレンツェに着いていただろう。
僕はこの20ユーロを巡って悩みに悩んだ。
金もないなら時間もないヨーロッパの旅は悲惨である。笑
イタリアの4日間の中で、ボローニャ一泊は痛すぎる。僕はフィレンツェの近くにあるピサの斜塔にどうしても今日行きたかった。
でも、20ユーロ。
あぁぁ・・・!!
何度か券売機の前に立ち、決めきれず引き返す。
そしてとうとう僕は捨身の覚悟で券売機の画面に人差し指でタッチした。
僕はフィレンツェで一発野宿することを自分に課して、ユーロスターに乗ることにした。
すぐにホームに移動すると、もう電車は出発間近で、閉まるドアに間一髪で乗車完了。
僕は腕時計をつけていないから、1時間以上チケットを買うかどうかのみを、考えていたのだということにその時気がついた。恐るべし。
ユーロラインは速い。日本の新幹線みたい。
フィレンツェのマリア・ノヴェッラ駅。小説には何度も登場している。
確かに車が音を立てて石畳を滑っていく以外は中世から時間を止めてしまったような街。
ヨーロッパは曇りの日が多く、空は陰鬱な感じがしたが、イタリアに入ってから空が広く、青い。
景観が保たれ、過剰な広告がない落ち着いた温もりのある色合い。
その中で目立つのは、空の濃く深い青と、僕が母親から差し入れられたダウンジャケットの、過剰な光沢を持つ紫色だけのように思われる。目立つなーこれ。
ピサに向かう車窓から。 |
すでに4時だったが、フィレンツェは二泊できるのでピサの斜塔に向かうことにした。
日没まではぎり間に合うかな。
イタリアの電車はとっても乗りやすいし、発達している。
イタリア語ができなくても問題にならない。
ピサの中央駅から早歩きで目抜き通りを歩いていく。
結構にぎやかで、こじゃれた商店が並ぶ。
日没前に斜塔を拝むために歩いた。
ヨーロッパに入ってから歩き方についている地図を極力見ないようにしている。
だから勘で歩く。
すると、ある角を曲がった瞬間に斜めにそそり立つ塔が現れた。思ったより大きくて斜めやん!
地図を見て、ここをこういったら塔があるはずみたいな感じで歩くのと、突然現れたものに驚くのはまるで感動が違うもの。
途中おおきな橋を渡る。 |
急に現われた。 |
想像より傾いてました。 |
ここか~。ピサの斜塔は、小さいときに科学の本みたいなので読んでから、ガリレオが実験したこの斜めに立つ塔をあこがれていた。
軽いものより重いもののほうが速く落ちるのが事実だと、現在でも物理を習う前にはそう思うのが普通だ。
ガリレオさんすごいなぁ~。
日没まで塔を眺め、満足した僕はピサの斜塔を後にした。
ピサ中央駅 |
青を基調にした車内。 イタリア代表のユニも青いもんねぇ~ |
帰りは二時間半かかった。
宿にキッチンがないことに落胆して、空腹に耐えかねて久しぶりのマクドでセットを食べてしまった。あかんなぁー。
ネットをしたり喋ったりなんやらして4人部屋で眠りについた。
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