2010年11月19日金曜日

11.14

朝9時にバスターミナルを出発。
どんどん山奥に入っていくにしたがって、残雪が増え気温が下がるのを感じる。
途中、国立公園の入場料75ペソ(1ペソ=25円くそ高い)を徴収。学生割引を主張するも払わされる。
やがて川と並行した道をバスは走る。ぽつんぽつんと氷の欠片が浮かんでいるのが見える。
川沿いの道をすすむ。
氷がうかんでいる。

そしてついに見えた!
遠くに見える氷河。
これが氷河かー。
展望台から。
展望台についたのは11時。
高いところでは100mあるらしい。

アンデス山脈に湿った偏西風が吹き上げ、多量の雪が降って凍り密度を増すと氷になる。
そのギザギザにとがった断面から、山にかくれて見えなくなるまで氷河は奥行きを持ってつながっている。奥から手前へ1年に100mくらい進むという。
思っていたよりも巨大だ。頂上まで何mあるのだろうか。まず、ものが大きすぎるし、背景もまた壮大なので目測でははかりかねる。
さらに奥には、人を寄付けないだろう雪をかぶった山々。あの山の向こうからここまで何年もかけてやってきたのだろうか。
時々、大きな音をたてて氷のかけらがバラバラと切り立つ氷河の断面を転がり、水面に落ち、鈍い音が時間差で我々の耳に届く。その欠片が大きいほど、音は大きく、着水するときに爆発したような音がする。
山間に存在するこのだだ広い空間の、静寂に響く音はどこか爽快なものがあった。
こんな寒いのに、
きれいな花が咲いていますな

氷河のすぐ前を流れる川は、所によって氷からとけた水が直接流れ込むせいで、激しく波打ち、氷河の下部におおきな穴を穿ち、中を流れる。そこから少し離れた水面にはいつか崩れ落ちた一部である氷が浮いている。
空は曇ったり晴れ上がったりを繰り返し、それにしたがって氷河の色も少しずつ変わる。
太陽が照ると、氷が青っぽく見えてきれいだ。
いやに風景の描写を書いてしまっているのは、あまりにもそこに長くいたからだ笑
僕は氷河の先端が、いっきに崩れ落ちる崩落が見たかったので、ここで帰りのバスが出る17時まで、6時間待つことにしたのだ。氷河を見るフェリーのツアーも出てはいるが、高いし、あんまり近くへ寄らないもので。
ベンチでお弁当を食べたり、散策して、氷河を眺めていた。
2時間くらい経過し、そろそろ気の長い僕も飽きてきたのか、背後から差し込む陽光のぬくもりに誘われ、やがて夢の中へ。そういえば寝不足だったな。
1時間くらい眠っただろうか。
カメラを紛失する夢を見たので、はっと飛び起きたらカメラはかばんに入っていた。
おきてまだ寝ぼけがとれないころ、目の前の氷河の部分が頻繁に小さな崩れを起こしていて、眠る前に比べて、ひびが大きくなっているように思った。
それから、数分間そこばかり注目していた。
水面下ならぬ、氷面下で起きていた氷河の状態の微細な変化の連続があつまった末、急激かつ大きな変化として我々の目の前に現れる。それは「堰を切ったように」という表現の見本のようだ。

大きめの氷塊が転げ落ちたのを最後、凄まじい轟音とともに、頂上から底まで、一気にバキバキと音を立て、氷河本体からはがれる。生まれた氷塔は、自立し、前に傾き、自壊しながら、派手に水面に崩れ落ちた。水しぶきははるかに離れた我々に届くかと思うほどに、それはそれは高く舞った。
この間、数秒。

観衆は拍手をし、水面は激しく波立った。
多分これは多分、崩落の中でも、すごいほうのやつや!!
驚いていた僕の口がふさがるころには、もう氷河も観衆も元の静かな時間に戻っていた。
後で見たらまったくビデオ撮れてへんやないか!!
まあいい。ド迫力。ビビった。

皆、崩落待ち。
なんなら岩でも、動物でもなんでもいい。僕はあの規模の大きさのものが、目の前であれほど激しく動くのを見たことがない。それだけでもう迫力満点。

その崩落を見てから僕は氷河の前で待つのが楽しみになった。

こういう小さい崩れでもけっこう音がする。

それからも何回か大きな崩落を見られたし、そこそこのやつもビデオに撮れたので満足した。



最後のほうは少し寒かったが、6時間も氷河の前にいたわりには時間は早く流れたと思う。

カラファテの村に帰ると、スーパーで買い物。
明日から2泊で山に入るので、食料をたんまり買い込んだ。
単独行なので、料理も楽しみのひとつだからだ。

宿に帰ると、エチオピアとケニアで一緒になった、たかさんがチェックインしていて驚いた。会うもんだなー。昔話に花を添えながら料理。
スープパスタとステーキを食べた。
あまりにもスープパスタがうまいので、キャンプ中こればっかりになりそうだ。
韓国人のヘリンさんに、ワインをやたらすすめてもらったあと、またもや大量のサンドウィッチ弁当をこしらえて明日に備え早めに就寝。


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