朝起きて身支度をすませ、荷物を背負うと、
まだ早いにもかかわらず、旅仲間の三人は見送ってくれた。
ハニ君はいつもおいしそうに吸っているタバコを4本くれ,
ポン君にはいかがわしい動画をもらい、
ゆうたさんとは握手をして別れた。
タクシーで空港まで180ランド(2000円)と高かったが、もう割り勘することもできないのだ。
空港について、ETIHAD AIRWAYSのデスクにチェックインするときも、少してこずった。
E-ticketをプリントアウトできなかったのだとデスクに説明すると、数分チェックした後、
フライトに君の名前はないから、どこそこに行って確認して来いと言われ、仕方なく空港内をさまよった。
バックパッカーはプリンターなど持っていない。もしも宿にあったとしても、貸し出しのサービスはないし、まずソフトのドライバーがない。フライトの時間も迫っていたし、僕はなんとしてもヨーロッパに行かないといけないのだ。
正直焦った。航空券は航空会社のオリジナルのサイトで予約したんだから、ミスりようがないはずだが・・・
もちろん、最終的にはやっぱり名前があった。
ほんまいちいちハラハラさせられるなぁー。
そして、僕はケープタウン→ヨハネスブルグ→アブダビ→ミュンヘンの20時間の旅路についた。長かった。
Etihad Airway(UAEの国営バス)は国際的にも評価が高いらしく、サービスは悪くなかった。
なぜ目的地をミュンヘンしたかというと、安かったという他に、理由は2つある。
一つは10月3日までオクトーバーフェストという、世界一のビール祭りがあること。
そしてもう一つは、ここからバスで5時間のウィーンへ日本から僕に会いに来てくれた人がいたからだ。10月2日の晩に彼女はウィーンに着くはずだから、急ぐ必要もあった。
エジプト-エチオピア間以来の空路。
飛行機に乗るのも、ずいぶん慣れてきた。
昔は、チキンプリーズっていうのも恥ずかしかったけれど。
旅に出てから気づいたことがある。
それは、あんまり飛行機の移動が好きじゃないということだ。それは、バックパッカーの変に陸路にこだわる性質とはまた違う。
飛行機は移動している気がしないし、機内が狭すぎて、閉塞感がある。
電車やバスの20時間は疲れるが、移動するに連れて、気候の違い、土地の違い、匂いの違い、昼と夜を感じられる。
じゃあ、もう一回アフリカを北上しろと言われても困るけど笑
もちろん旅に出てから、得意だと気づいたこともある。
移動中はどこでも寝られること。(日本では得意じゃなかった)
便座からお尻を浮かして用を足すこと。(日本ではちゃんと便座がある。汚れを避けたり、陶器の上に座ると冷たいため。)
あとは、早く地図を把握すること(僕にとって梅田は今でもラビリンスだが。)
何故こんなどうでもいいことを書くかというと、飛行機の中では何も起こらなかったからだ。
乗客もいたって普通の白人たちだし、サービスもそこそこ。横の人ともそんなに口を聞かなかった。
僕はアリスインワンダーランドを日本語で視聴した。
「ワンダーランドでは潰されるのに怒り出した時間が止まってしまった」という表現はセンスがあると思った。その映画を、僕は時間潰しに見ている。
やることもなかったので、ここ一番、得意技を繰り出した。
つまり、ひたすら眠り続けたということだ。
飛行機が苦でも、眠ればそんなことは関係ない。
着陸したのは翌朝5時だった。少しむくんだ足を機内から踏み出す。
空港から見渡したミュンヘンの街は、まだ暗い上にアフリカでは一度も見なかった靄がかかっていた。
日が昇り、靄が晴れるまで、空港でも眠った。
これまでゆったりした時間がなかった僕には、宿はもちろん、ミュンヘンの情報はほとんどなかった。中心の駅がどこなのかすら知らなかった。
宿は最低でも取るのが普通だが、検索してもこの時期のミュンヘンは安宿が全くなかったのだった。
のんきな僕は、なんの心配もしなかった。
僕の心を占めていたのはむしろ久しぶりにたった一人で旅する楽しさだった。
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